菓子業界は仁義なき戦いに明け暮れていた。きのこの山、たけのこの里などが日々戦いを繰り広げて注目を浴びていた。
そこで、日本ノコギリ社の社長が要らないことを思い付いた。
「戦えば世間が注目してくれる!」
日本ノコギリ社は、糸ノコの里と、電ノコの山という商品を開発した。
「ついに勃発。糸ノコの里と、電ノコの山の最終対決!」
そして、それらの商品を持った宣伝員がコスプレして街頭に立った。
あまりに異様な光景だったので、人々は足を止めた。
その時、電ノコを持った宣伝員が転んだ。
電ノコが糸鋸に触れた。
細い糸鋸は一瞬で切れた。
「なんだあ、やっぱり電ノコの方が強いのか」
急速に、みんなの興味は無くなっていった。
(遠野秋彦・作 ©2018 TOHNO, Akihiko)